BG学園物語 



 <午後 2





〜午後 3〜

―――午後ニ時の中庭。B.Rが担当のウサギにエサを与えている。
さっきとは別人のようなそんな様を見ながら、エスオーと桜葉は、昼番を終えて「事件」を一部始終見ることができなかったうごに、事の顛末を語っていた。
うごが駆けつけたのは、ちょうどB.Rがレースを離れた直後のことであり、それからめまぐるしく状況が変わって、話を整理する時間がなかったのだ。
・・・本来なら、午後の授業を受けているはずの時間である。
彼らがこんなのんきな昼下がりを過ごしているのにも、ちゃんと理由があった。それは彼らだけではなかった。

『っていうか、今からバタバタ戻っても仕方ないんじゃない? 今日の午後の授業は中止。はい決定』

教頭が息を切らしている魔王GTRからメガホンを横取りし、みんなに向かって言ったこの言葉で、あっさりと午後の授業がキャンセルになってしまったのだ。
さすがに唖然とした三教師を尻目に、生徒たちから一瞬にして大歓声が上がった。
教頭の言葉を一介の教師が取り消すわけにもいかず、生活指導と国語担当、二人の教師はがっくりとうなだれて校舎へと引き上げていったのである・・・。

一足早い放課後ということで、B.Rはさしあたり三人に付き合ってもらって、中庭で彼のささやかな務めを果たしていた。
今ごろ7番コースではやんややんやの喝采の中、誰でも参加できる走行会が行われている。あのお祭りは、おそらく日暮れまでずっと続くであろう。
「俺たち、そういえば教頭があの車に乗ってるってことを知るのは始めてなんだよな・・・三年目にして、ようやく」
エスオーがそうしみじみと言えば、うごが、
「それ以前に、俺たち三年通って、何回教頭の姿見たことあったっけ?」
と答え、
「ACE先生より不真面目な・・・しかも役職ついてるくらい偉い先生がいるなんて、普通は誰も考えないよ・・・」
と桜葉が締めくくる。
生徒たちのほうが、よっぽど常識的で真面目じゃないんだろうか。
そうお互いが思い、四人は顔を見合わせて誰ともなく笑い出した。




<余談その1>

「・・・今日は早く授業が終わってしまったので、たまには飲みに行きますか?」
「いいですね。私もちょうどそんな気分でした」
「! あ、飲みに行くなら、オレも行きたいな♪ どこ行くんです?」

―――ACEは言葉の直後に向けられた視線に、思わず一歩退いた。
二人とも、思いっきり目が据わってるんですが・・・

「・・・誰のせいだと思ってるんですか。だ れ の!」
「って、オレが悪いの!?」
「もちろん貴方だけ、とは言いませんが。聞けば二人だったバトルを止めるどころか、嬉々として飛び入り参加したとか」
・・・バレてます。
まあ、あれだけ観客いたらごまかしようもないです。
「このさい、ACE先生も生活指導しときますか?」
「あ、そうですね☆ ぜひお願いします」
「げっ、勘弁してくださ〜い!」




<余談その2>

翌日。
生活指導部から、構内のあちこちにポスターが貼られた。
あの白くて誰もが憧れる車が描かれている。
誰もが振りかえり、見とれるその姿だが、その画の上部には大きな赤文字でこう書かれていた。

“WANTED!>見かけたら生活指導部まで”

「・・・私はそんなおたずね者か?」
ポスターを見た本人が職員室にやってきて、呟いたその言葉が、職員全員に無視されたのは言うまでもない。





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