BG学園物語 




<4月>

〜一講目:HR〜

「きり〜つ、れーい、ちゃくせーき」
「「「おはようございまーす」」」
生徒たちを代表して挨拶するのは、今年度の生徒会長でもある竜騎兵君。制服姿がなんとも若々しい。

ん? 誰です? 画面外から担任よりも真面目な人だと不思議な声が聞こえてくるんですが・・・。

まずは今月の連絡事項からにしましょう。各科目を担当する先生を発表します。
まず、担任は私RINKA♪が昨年に引き続き3Gを受け持つことになりましたので、どーかよろしく。
なお副担任は理事長でもあるメカドック2氏に決まっているので、後ほど挨拶に来られるとのことです。
ただメカドック2氏は理事長という立場柄、日中は授業を受け持たずにさまざまな活動をされているので、学園に顔を出されるのは基本的に夕方から夜にかけてらしいです。
理事長とお話されるのであれば、寮の門限を破らない程度に遅くに学園へ来てみるのもいいでしょう。

ところで月に数回行ってる私と理事長の特別合同授業を、「ワルダクミ講義」と称している者がいるようですが・・・
まったく言いがかりも甚だしいですね。
まあ噂の出どころは君たちではないとは思いますが、何しろ君たちは将来立派なドライバーへと必ず成長する、期待された若者たちです。
そういった根も葉もない噂には、決して惑わされてはなりませんよ。

おっと、話がそれました。
では時間もあまりないので、他の教科の先生方はそちら側の黒板に書いておきます。あとで確認しておいてください。
それから、この中で寮に入っているのは何人いますか? ・・・さん、し・・・・6人ですか。
寮長のT.Tさんは普段は非常に気さくな方ですが、寮の規則については結構厳しいらしいから気をつけたほうがいいですよ。
あの人のドライビングはジャンルを問わないから・・・。
何より規則を破ったり夜中に脱走でもしようもんなら、高速でも街中でも、山でも雪でもお構いなしに車に飛び乗って追いかけてくるとの噂です。
寮にはそのためなのかどうかは確かではないけど、寮生が知らない車庫があっていろんなジャンルの車が待機してるとか。
確認したければ時間外に逃げ出すのが一番だけど、たいていの悪路はものともしない腕を持っているからね。
きっとすぐ捕まって1ヶ月罰掃除の刑になるだろうから、ハンパな気持ちではオススメしません。

おっと、いつのまにかあと10分足らずになってしまいましたか。
じゃあ最初の授業でもあることだし、今日はこのへんにしておきましょう。
ではJan.13学級委員長。
「はい。起立! 礼!」
「「「ありがとうございました」」」



―――後日、休憩時間の教室にて。

「なあ、あの“根も葉もない噂”って、実際のところどうなんだろう? HAGIさんは知ってる?」
「それは僕も気になっていたところですよ」
「なんか、そんな風に事前に言われたりすると、どんな講義なのか中身とても気になるよね」
「それはありますねー」
「その講義の内容、僕聞いたことあるよ」
「「ほなみんさん、それ本当!?」」
「うん。さくやんさんとHAGIさんは、美術のACE先生って知ってる?」
「ああ、知ってる知ってる。なんか面白いくらい不真面目で、“これ描いておくように”って課題残していなくなっちゃう先生だよね」
「うん。ACE先生はその間、実習室が開いていたら一人でこっそり走ってるって噂なんだけど・・・」
「それも結構疑いたくなる話ですね。なんで美術の先生なのか不思議ですが・・・それで?」
「この前、たまたま七瀬家先生から頼まれて、新しいステッカー旗を十枚美術室に届けたんだよ」
「うんうん」
「“ワルダクミ講義”の話は僕も前から聞いていてさ。ACE先生に聞いてみたんだよね。そしたら、なんて言ったと思う?」
「憶測はやめておくよ。なんて?」
「“対戦で、どれだけ相手のスタートダッシュを妨害できるか”だってさ」
「・・・ぶっ☆」「えええええええ!?」
「とりあえずスタートと同時に、相手方向に向かってハンドル全開らしいよ」
「・・・そりゃ確かに“ワルダクミ”って言われても仕方ないよなぁ」

「ほほぅ、話の出どころはACE先生でしたかぁ・・・(ニヤリ)」

「「「うわっ!!!」」」

「あの不良先生にも困ったものだ」
「あ、あの・・・RINKA♪先生・・・」
「今回は!」
「「「はいぃぃぃっ!(直立)」」」
「聞き流しておきます。でもこれ以上根も葉もない噂が広まるようだったら・・・」
「・・・(ドッキンバクバク)・・」
「助手席ベルトなしで“NSXリアルトルネード”体験してもらうからね(にっこり)」

「「「それはマジでごめんなさぁぁぁい!」」」




果たしてその後、RINKA♪とACE両教師の間でどのような会話がなされたのか。
それは深い謎に包まれたままである・・・







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