BG学園物語 

      Present by 藍川 由貴







BG学園という場所を、みなさんはご存知だろうか?

それは和歌山にあり、全国のプレイヤーたちがこぞって集まる、バトルギアのためだけの幻の学校。
バトルギア3を愛する者たちにとって、真の意味で理想の環境が整う夢のような場所である。


これは、そんな学園で暮らす者たちの、愛と勇気の物語・・・・・・になるかもしれない。







<プロローグ>



「ここが噂のBG学園かぁ・・・」

地方から上京してきたばかりの彼は、予想以上に大きな校舎を思わず見上げた。
校舎自体はあまり装飾もなく、シンプルイズベストな造りである。
しかし一度駐車場に視線を移すと、停まっている車の群の派手なこと派手なこと。 どれもよく磨かれていて、乗り手の車への愛が良くわかる。
漆黒のFD、真っ白のR32。WRCもびっくりの真っ赤なエボ8。かと思ったら、どこを走ってきたのか聞きたくなる泥だらけの涙目インプレッサ。
それから、プロドライバーが乗っててもおかしくなさそうな車高ベタベタのNSXまである。

国産スポーツカーのショーか何かですか? ここは。

中には可愛らしいマーチとか、古くても愛情たっぷりに乗っているのがわかるレビンやFCなどもあるようだ。
校庭の隅に、無数の旗が翻る一区画がある。一つとして同じデザインはない旗の数々。
BGを楽しむものには決して欠かせない、“ステッカー”と呼ばれるものを掲げていることはすぐにわかった。見覚えのある旗もかなりあるようだ。

このBG学園、もちろん正規の学校ではない。大学の公開講座のような、誰でも出入りできるBGの為の学校だ。
それにしてもゲーム一つのためにここまで立派な校舎を建ててしまう辺り、学長のBGに賭ける思いはあまりにも常識はず・・・いやいや、きっと素晴らしく一途な思いなのだ。
常識外と言ってしまっては、今この場に立っている自分の立場もなくなるので、そういうことにしておこう。

・・・果たして、そんな自分にどれだけの「同士」がいることやら。

苦笑して、彼は玄関に足を踏み入れた。



BG学園での、ハチャメチャで熱い日々が、今ここに始まる。





>>一時間目は「ホームルーム」です。



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